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食品業界での乾燥機の用途

主にドライフルーツや粉もの製造に活用

食品業界では、主にドライフルーツや粉もの製造で乾燥機が活用されています。ドライフルーツでは、バナナやイチゴ、ブドウ、柿、マンゴーなどのほか、スイカや梨、レモン、リンゴやプルーンなどが挙げられます。

また、粉もの製造では、まず粉末状にしたい食品を乾燥させなければなりません。そのため乾燥機を使って食品を乾燥させ、粉砕機などで粉末状にします。粉もの製造ではかぼちゃやにんじんなどの野菜、しいたけ、お茶などをパウダー状にしています。また、ふりかけの製造工程でも食品乾燥機は欠かせない存在となっています。

幅広い食品で使用される

食品乾燥機の役割は、水分含有量の多い食品から水分を除き、腐敗や変質を防止したり、食品の貯蔵性を高めることなどです。そのためドライフルーツや粉もの製造以外にも、野菜やキノコ、海産物、お茶、ナッツ類など幅広い食品で使用されています。

たとえばカットねぎを乾燥させたり、あおさ海苔を乾燥させたり、芋けんぴやビーフジャーキーの製造に使用されます。また、油揚げやおからなど、加工食品の乾燥も行っています。

さらに、特定の食品の乾燥に特化した乾燥機も登場しています。乾燥させたい食品の特性や形状、乾燥の目的に合った乾燥機を選びましょう。

食品の乾燥工程で用いられる方法

熱風乾燥

熱風乾燥(温風乾燥)は人工乾燥のなかでも最も一般的な方法です。電気やガス、ガソリン、灯油などの燃料を使用したバーナーまたはヒーターで熱を起こし、送風機で原料に熱風を吹き付けて乾燥させるのが特徴。コインランドリーの衣類乾燥機や食器乾燥機などにも用いられている乾燥法です。

シンプルな方法ですが食品の乾燥には効果的で、特に野菜や果実などの乾燥に適しています。また、コストも比較的かからず、温度調整がしやすいというメリットもあります。一方で、原料の表面が完全に脱水されてしまうため、ひび割れや不均一な仕上がりになってしまうことも。また、製品や許容乾燥温度によっては、乾燥までに時間がかかることがあります。

流動層乾燥

流動層乾燥は、熱風によって原料を気流中で浮遊させ、乾燥させる方法です。主に種子や顆粒状のものを乾燥させるのに使われており、スープや穀類、豆類、グラニュー糖、小麦粉などの乾燥に適しています。

流動層内で熱風と原料が激しく混合することで熱の伝達が迅速に行われるため、処理能力が大きいのも特徴。また、流動層内の温度を均一に保持しやすく、品質の低下や乾燥のムラも少ないのが魅力です。一方で、高温にさらされることから、原料が変性してしまうことがあります。

噴霧乾燥

噴霧乾燥(スプレードライ)は、液体の原料を熱風中に噴霧し、瞬間的に水分を蒸発させて乾燥させる方法です。液体の原料から乾燥粉末(顆粒)を直接得られ、ろ過や脱水、乾燥、粉砕などの工程を短縮することが可能。また、粒子径の調整によって水溶性を高めたり、瞬間的に乾燥させることで熱に敏感な物質でも変性を抑えられたりなど、粉体特性・機能性の向上も期待できます。

食品業界で広く使われており、粉乳や粉末コーヒーなどに用いられている乾燥方法です。

ドラム乾燥

ドラム乾燥は、加熱した回転式のドラム上に液状化した原料を薄く塗りつけ、連続的に乾燥させる方法です。マッシュポテトやさつまいもなどの高粘性原料の乾燥に適しています。乾燥した原料はフレーク状になりますが、それをさらに粉砕して粉末状に加工することも可能です。

低温乾燥

低温乾燥(冷風乾燥)は、熱風乾燥とは逆に低温度の空気で乾燥させる方法です。冷却・除湿して乾いた空気を庫内で循環させ、水分の蒸発を促す仕組みとなっています。乾燥と同時に熟成効果も得られるのが特徴で、生鮮品の乾燥に最も広く利用されている乾燥法です。そのほか、麺や野菜、果実などの乾燥に使用されています。

低温で乾燥させるため、熱による原料の変性や劣化を起こしにくいのがポイント。また、低温乾燥機を乾燥後の製品の冷蔵保存庫として利用できるメリットもあります。ただし、設備費用の負担がやや大きく、乾燥が完了するまでに時間がかかるのが難点です。

真空凍結乾燥

真空凍結乾燥(フリーズドライ)は、あらかじめ食品を凍結させ、それを高真空の環境下に置くことで氷になった水分が水蒸気へ一気に変わる昇華作用を利用した乾燥方法です。酸素と触れ合わずに水分を抜くため、常温で保存するインスタント食品や非常用保存食などによく用いられています。また、色や成分の変化が少なく、復元性が高いのも真空凍結乾燥の大きな特徴です。

一方で専用の設備が必要になるため、ほかの乾燥法に比べて設備費用やランニングコストの負担が大きいというデメリットがあります。

加圧乾燥

密閉容器の中で食品を加熱・加圧した後、急激に常圧に元して瞬間的に水分を蒸発・乾燥させる方法です。ぽんせんべいやスナック食品など膨化食品の製造に用いられています。加圧乾燥は食品の復元性が高く、乾燥速度が速いのが特徴。一方で、原料の水分の多少によって膨化の程度が変わるという側面も持ち合わせています。

食品用の乾燥機を導入する際のポイント

食品用乾燥機の導入では、乾燥させたい食品の特性や目的に合った製品を選ぶことが大切です。ひとくちに食品といっても、形状や水分含有量、乾燥目的が異なります。乾燥してどんな色に仕上げたいか、どのくらいの量を乾燥させたいかによっても選ぶべき乾燥機は異なるでしょう。

たとえば高温乾燥で変化しやすい素材や製品水分量の許容がシビアな対象物の場合、熱風式乾燥機はおすすめできません。また、ベトベトしている素材や風で吹き飛びやすい素材、水分量が均一でない素材を混合乾燥させたい場合は、通風式乾燥機を避けた方が良いでしょう。

さらに、大量の食品を乾燥させたい場合は連続式のコンベア乾燥機がおすすめ。バッジ式乾燥機は設置面積が小さいメリットがあるものの、長時間乾燥に向いており、大量の食品を効率よく乾燥させるのには適していません。

食品製造分野での利用に適した
振動乾燥機をチェック

⼯業⽤乾燥機のタイプ別⽐較表

半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。

オンマウスで各項⽬の解説が表⽰されます
振動乾燥機

振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。

攪拌乾燥機

攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。

真空回転乾燥機
(コニカルドライヤー)

真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。

箱型棚式
乾燥機

箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。

流動層乾燥機

流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。

材料適⽤
範囲

様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。

適⽤量

一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。

粒⼦破損

材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。

加熱温度

関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。

コンタミ
発⽣
リスク

乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。

洗浄時間

乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。

消耗
部品

攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。

特⻑ 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている 大量の原料の乾燥に適している
代表的な
製品(※)
中央化工機
VU型振動乾燥機
中央化工機振動乾燥機

引用元:中央化工機HP
(https://www.chuokakohki.co.jp/dryer.html)

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ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機
イメージ

ヤスジマHP
(https://yasujima.co.jp/product/dryer/yvdn/)

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徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型
イメージ

徳寿工作所HP
(https://www.tokujuk.co.jp/products/dryer/WDV/post-11.html)

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長門電機工作所
箱型棚式乾燥機
長門電機工作所箱型棚式乾燥機

引用元:長門電機工作所HP
(https://nagato.co.jp/ventilation-tray-dryer/)

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栗本鐵工所
流動層乾燥装置
栗本鐵工所流動層乾燥装置

引用元:栗本鐵工所HP
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/floormap/floor-03.html)

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※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。