基板とは、主に電子部品を載せる板のこと。PCやスマートフォン、ゲームなど電子機器の中の部品として使われています。通常、電子機器の外側に見えることはありませんが、電気を接続するために大きな役割を果たしているものです。
基板を構成しているのは配線と絶縁材料です。そのため、乾燥する際にはこれら材料の乾燥に適した方法を選ぶ必要があります。
基板を乾燥させる前に行われるのが洗浄工程です。そのため、基板の乾燥では洗浄でついた水分を高速回転による遠心力でしっかり落とし、ある程度の水滴を取り去ってから乾燥段階に入る方法をとります。
他にも、基板の特性や用途に合わせてさまざまな乾燥方法があります。
リジッド基板はプリント基板の1種であり、その中でも柔軟性がなく固い絶縁体を基材として用いる基板です。リジッド基板のリジッドとは「Rigid(硬い)」という意味を表しています。
なお、リジッド基板はさらに基材として用いられる素材によって分類されており、紙基材やガラス基材、フェノール基材、エポキシ基材、その他にも複合基材など様々なものが存在しています。
リジッド基板では基材に回路パターンを転写した後、基材ごとに対応した乾燥を経て次の工程に移ることが特徴です。
フレキシブル基板もプリント基板の1種ですが、リジッド基板と異なり、絶縁性がありつつ柔軟性も備えている基材を用いられることがポイントです。
フレキシブル基板は薄いシート状の基材に回路パターンが転写されており、基板そのものの形を曲げたり変化させたりすることができます。そのため部品実装や組立の際にも柔軟な形状変化で環境に適合させられ、立体的な配線や可動部分への配線といった用途で利用できる点がメリットです。反面、薄いシートに合わせた乾燥条件を調整しなければなりません。
リジッドフレキシブル基板はフレックスリジッド基板とも呼ばれ、文字通りリジッド基板とフレックス基板の両方の特性を兼ね備えている基板です。
具体的には、リジット基板として形成されている複数の基板が、フレキシブル基板によって接続されているものとなり、リジッド基板の一部を折り曲げて部品実装を行いたいといったニーズに対応します。
リジッドフレキシブル基板では、それぞれの基材や表面処理に合わせて乾燥条件を設定することも重要です。
高速でスピンさせることで遠心力を発生させ、水分を吹き飛ばす方法です。比較的簡単に、低コストで乾燥できる長所があります。
加熱したガスを贈り、高音のガスで水分を蒸発させる方法です。熱効率を高めるため、密閉した状態で空気を循環させながら乾燥します。
洗浄ワークに赤外線をあてて水分を気化・蒸発させる方法です。液晶用ガラス基板などの乾燥に適しています。
基板を高音の台「ホットプレート」に置いて、熱伝導で残存した洗浄溶媒を気化・蒸発させる乾燥方法です。基板のように薄い板状の素材は熱伝導性が良いため、昇温時間も早く効率的に乾燥できます。
濡れている基板と、その周りの空気ごと吸い取って乾燥させる方法です。掃除機で水分を吸引してとるイメージというと分かりやすいでしょう。より早く乾燥させるために、エアブローや温風ブローを併用することもあります。
濡れているワーク(基板)を真空チャンバーに収めて減圧することで水分の蒸発を早める乾燥法です。真空乾燥では、急速な減圧によって洗浄溶媒が瞬時に沸騰(突沸)し、ワークから飛び出す力を利用して乾燥します。そのため、早い時間での乾燥が期待できます。
蒸気の力で洗浄も乾燥も行えるようになる方法です。蒸気によってワークが濡れても、再び温まることでワークが乾燥される原理を利用しています。
純水槽に洗浄ワーク(基板)を浸して水面にIPA(アルコールの一種)を添加して薄いIPA層を作り、その後にゆっくり洗浄ワークを引き上げて乾燥させる方法です。
半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。
振動乾燥機
振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。 |
攪拌乾燥機
攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。 |
真空回転乾燥機 (コニカルドライヤー) 真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。 |
箱型棚式 乾燥機 箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。 |
流動層乾燥機
流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。 |
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材料適⽤ 範囲 様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。また、外に空気が漏れないため、人体に有害なものやナノ粒子状なども対応可能です。 |
広い 幅広く対応 本体部分は閉じられた状態になるため、様々な材料に対応。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料は苦手 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料不可 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。また、水分を多量に含んだものも苦手とする。 |
適⽤量
一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩
材料を水平に並べる構造上、大量の材料を乾燥させる際には広いスペースが必要となる。 |
大
大量の材料の乾燥に適用したタイプの乾燥機。 |
粒⼦破損
材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。 |
少ない
振動による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
少ない
回転による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
少ない
攪拌を行わないため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
加熱温度
関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
低温域 (160度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
コンタミ 発⽣ リスク 乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
洗浄時間
乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
消耗 部品 攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
特⻑ | 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない | 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い | 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている | 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている | 大量の原料の乾燥に適している |
代表的な 製品(※) |
中央化工機
VU型振動乾燥機 ![]() 引用元:中央化工機HP |
ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機 ![]() ヤスジマHP |
徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型 ![]() 徳寿工作所HP |
長門電機工作所
箱型棚式乾燥機 ![]() 引用元:長門電機工作所HP |
栗本鐵工所
流動層乾燥装置 ![]() 引用元:栗本鐵工所HP |
※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。