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製薬業界での乾燥機の用途

粉薬や錠剤の乾燥に使用

製薬業界では、粉薬や錠剤の乾燥に乾燥機が用いられています。たとえば粉を造粒加工する際、水や有機溶媒を混ぜます。しかし製品にするためには水分を除去する必要があり、乾燥工程が欠かせません。

また固形剤の製造工程では、反応・晶析・分離といった工程を経て乾燥を行います。分離工程で湿ったままの結晶を乾燥させる必要がありますが、品質を損なわないよう真空下の低温環境で乾燥させます。

そのほかにも、凍結乾燥(フリーズドライ)を行って医薬品の品質を保つケースもあります。凍結乾燥では乾燥中に対象物に損傷を与えにくく、ワクチンや抗生剤などの多くは凍結乾燥によって研究生産されています。

コンタミが起こらないように注意して扱う必要あり

製薬用途では、とくにコンタミに注意して乾燥させる必要があります。清潔度を保って乾燥させなければならないため、乾燥機の密閉性やサニタリー性も重要なポイントです。

また、クリーンルーム内での使用を想定した乾燥機も開発されており、シームレス溶接によって完全密閉仕様にしていたり、庫内への吸排気にHEPAフィルタを採用して防塵性を高めている製品も。クリーンルーム内外の壁を挟んで乾燥室と機械室を設置し、メンテナンスをクリーンルーム外部から行えるようにした乾燥機もあります。

製薬工程の乾燥工程で用いられる方法

真空乾燥

真空状態にし、できる限り低い温度下で乾燥処理を行う工程が「真空乾燥」です。一般的に真空排気システムを活用しており、大気圧を真空ポンプが圧迫し真空状態をつくります。真空乾燥は医薬品の安全性を保持することを目的に、薬品に付いている僅かな水分を取り除くことが可能です。

流動層乾燥

熱風を気流中に浮遊させて乾燥させる方法のことを「流動層乾燥」と呼びます。構造自体が比較的シンプルかつ可動部分がほとんどないので、安定した運転がしやすく、大量処理に適した乾燥方法と言えるでしょう。乾燥のムラもほとんどなく、品質低下がしにくいというメリットがありますが、高温に薬品を当てることで変性するリスクが高まるというデメリットがあります。また粘着性のある薬品の乾燥は非常に困難なため、使用する素材は選ばなければなりません。

凍結乾燥

医薬品だけでなく、再生医療などの生体材料や食品など幅広い分野で活用されている乾燥方法です。溶液を凍結したままで高真空下にさらし、固体から気体へ変化させることで水分を除去します。凍結乾燥の最大の特徴は水分をほぼ完全に除去できること。含水率の低いサンプルが得られるため、長期安定保存の実現、室温で輸送できるなどのメリットがあります。高分子医薬品のほとんどは、無菌環境で凍結乾燥によって製造されており、ワクチンや診断薬、研究用試薬などの製造にも凍結乾燥が活用されています。

調湿乾燥

調湿乾燥とは一定の湿度にキープした空間に残留溶媒を含んでいる化合物を入れ、化合物に含まれる溶媒分子を水分子に置き換えることで残留溶媒を減らす方法です。

従来の棚段乾燥機を使用した調湿乾燥の場合、湿度を安定させるなどの管理が非常に困難という問題を抱えていました。そのため近年では、ろ過乾燥機を活用し加湿脱溶媒法を導入するケースも多いようです。加湿脱溶媒法は従来よりも湿度や温度などの管理が容易となり、溶媒分子から水分子への置き換えが良好というメリットもあります。

熱風乾燥

人工乾燥の中でもメジャーともいえる方法が熱風乾燥です。何らかの燃料を用いてヒーターなどで加熱し、送風機で熱風を当てながら乾燥させます。身近なところでは食器乾燥機の乾燥方法に使用されています。

熱風乾燥を行う場合、基本的に庫内は50度~700度ほどに保たれています。熱風乾燥は比較的コストをかけずに温度調整が容易というメリットがありますが、ひび割れ・不均一などに仕上がってしまうというデメリットもあるので注意が必要です。

製薬用の乾燥機を導入する際のポイント

製薬では、品質確保のために高度な配慮が必要とされます。乾燥中に異物が混入しないようにすることはもちろん、品質を低下させないよう損傷や乾燥ムラなどに注意しなければなりません。

たとえば製薬用途で広く使われている箱型棚式乾燥機は平行流と通気式に分類されますが、それぞれメリットとデメリットがあります。平行流では一度に処理できる量が多いものの、乾燥時間が長めであり、対象物の厚いと乾燥ムラが生じやすくなります。

一方通気式では乾燥速度が速いものの、乾燥機の設置スペースが大きい・厚みがあると乾燥ムラが生じやすくなるなどのデメリットがあります。

このように製薬用乾燥機といっても、乾燥させたい対象物の種類や量、特性などに応じた製品を選ぶことが大切です。

製薬業界での利用に適した
振動乾燥機をチェック

製薬業界での利用に適した
ろ過乾燥機をチェック

⼯業⽤乾燥機のタイプ別⽐較表

半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。

オンマウスで各項⽬の解説が表⽰されます
振動乾燥機

振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。

攪拌乾燥機

攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。

真空回転乾燥機
(コニカルドライヤー)

真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。

箱型棚式
乾燥機

箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。

流動層乾燥機

流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。

材料適⽤
範囲

様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。

適⽤量

一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。

粒⼦破損

材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。

加熱温度

関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。

コンタミ
発⽣
リスク

乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。

洗浄時間

乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。

消耗
部品

攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。

特⻑ 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている 大量の原料の乾燥に適している
代表的な
製品(※)
中央化工機
VU型振動乾燥機
中央化工機振動乾燥機

引用元:中央化工機HP
(https://www.chuokakohki.co.jp/dryer.html)

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ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機
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ヤスジマHP
(https://yasujima.co.jp/product/dryer/yvdn/)

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徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型
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徳寿工作所HP
(https://www.tokujuk.co.jp/products/dryer/WDV/post-11.html)

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長門電機工作所
箱型棚式乾燥機
長門電機工作所箱型棚式乾燥機

引用元:長門電機工作所HP
(https://nagato.co.jp/ventilation-tray-dryer/)

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栗本鐵工所
流動層乾燥装置
栗本鐵工所流動層乾燥装置

引用元:栗本鐵工所HP
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/floormap/floor-03.html)

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※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。