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対流伝熱乾燥機の仕組み

工業用乾燥機には、熱の伝わり方によっていくつかの方式があります。そのなかで「対流伝熱乾燥」は空気やガスの流れを利用して熱を材料に伝える方式で、最も広く使われている乾燥方法のひとつです。

対流伝熱乾燥機は、乾燥スピードの速さや、大量処理への適応性の高さが特長です。一方で、熱損失が生じやすかったり、熱風に乗って臭気や粉じんが発生するなどの注意点もあります。

この記事では、対流伝熱の仕組みや、対流伝熱乾燥機のメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

対流伝熱とは?対流伝熱乾燥機の仕組み

対流伝熱とは、空気やガスなどの「流体の動きによって熱が運ばれる現象」です。たとえば、ドライヤーで髪を乾かすときや、オーブンで食品を加熱するとき、温められた空気が対象物に当たることで温度が上がり、水分が蒸発していきます。これが身近な対流伝熱の例です。

乾燥機においては、加熱された空気やガス(熱風)をファンなどで循環させ、乾燥槽内の材料に吹きつけることで、熱を効率よく伝えます。材料の表面で水分が蒸発すると、その蒸気は気流に乗って外へ排出され、新しい熱風が再び供給される──この繰り返しによって乾燥が進みます。

代表的な対流伝熱乾燥機の例

対流伝熱を利用した乾燥機には、以下のようなタイプがあります。

対流伝熱乾燥のメリット

均一でスピーディな乾燥が可能

対流伝熱乾燥では、熱風を材料全体に行き渡らせることで、部位ごとの温度差を抑え、均一な乾燥を実現できます。風量や温度、流れの方向を制御することで、効率的かつ短時間で処理できるのが特長です。特に、粒子や薄膜のように表面積が大きい材料では、水分をムラなく除去でき、安定した仕上がりを得やすくなります。

また、乾燥速度の調整もしやすいため、製品の品質保持や歩留まりの向上にもつながります。

大量処理に適しており、生産性が高い

対流伝熱乾燥は、熱風を使って連続的に乾燥を行えるため、一度に多くの原料を効率よく処理できます。トンネル乾燥機や流動層乾燥機のように、材料を次々と供給しながら乾燥を進める構造では、工程を止めずに生産を継続できるのが大きな特長です。

このため、大規模プラントや量産ラインなど、生産効率を重視する現場で広く採用されています。

装置構造がシンプルでメンテナンスが容易

対流式乾燥機は、基本的に「加熱ユニット」「送風ユニット」「排気ユニット」の3つで構成されており、構造が比較的シンプル。装置の製作コストやメンテナンスにかかるコストを抑えやすいほか、複雑な配管や密閉部が少ないため、内部に原料や粉じんが残りにくく清掃しやすいのも特長です。

原料を頻繁に切り替える生産ラインでも、洗浄や再立ち上げにかかる時間を短縮できるため、製品の切り替えが多い工場や衛生管理を重視する業種にとって大きな利点となります。

幅広い材料に対応可能

対流伝熱乾燥は、熱風が材料の表面に接触することで乾燥が進むため、粉体・粒体・シート材・液体など、形状や性質の異なるさまざまな原料に対応できます。

風速や温度、流れの方向を調整することで、熱に弱い素材から水分の多い原料まで柔軟に処理できるのが特長。この汎用性の高さから、食品・化学・医薬・電子材料など、幅広い分野で採用されています。

温度・風量などの条件を細かく調整できる

対流伝熱乾燥では、熱風の温度・流速・流れの方向などを制御することで、乾燥条件を細かく調整できます。材料の種類や水分量に合わせて設定を最適化できるため、品質を保ちながら効率的な乾燥が可能です。

たとえば、熱に弱い素材を扱う場合でも、温度を低めにして風量を増やすなどの工夫によって、ダメージを抑えつつ十分な乾燥効果を得られます。

材料に直接触れずに乾燥できるため衛生的

対流伝熱乾燥では、材料を加熱面に直接触れさせる必要がないため、焦げつきや付着のリスクが少なく、衛生的に乾燥を行うことができます。

非接触で処理できる構造により、乾燥中の異物混入やコンタミネーションを防ぎやすく、徹底した衛生管理が求められる食品や医薬品などの製造にも適しています。

対流伝熱乾燥のデメリット

熱効率がやや低く、エネルギー消費が大きい

対流伝熱乾燥では、熱風が材料に触れる前に、乾燥槽内の空間や装置の壁面などに熱が逃げやすくなります。そのため、伝導伝熱乾燥のように熱が直接伝わる方式に比べると、熱効率はやや劣り、同じ乾燥量を得るにはより多くのエネルギーが必要です。

また、乾燥後に排気される熱風にも高温の熱が残るため、そのまま外へ排出すると大きなエネルギーロスとなります。熱交換器などで排気の熱を回収しない場合、燃料使用量が増えてランニングコストが高くなる点に注意が必要です。

揮発成分の飛散や臭気・粉じんが発生しやすい

乾燥中に発生した蒸気や揮発成分は、熱風とともに装置の外へ排出されます。このとき、原料によっては臭気が生じたり、微粉が空気中に舞うことがあります。そのため、脱臭装置や集じん機などを併設して運用するケースが多く、環境対策にかかるコストが課題となります。

とくに、食品・化学・樹脂系原料など、においや粉じんが発生しやすい分野では、排気処理の設計が重要です。

熱に弱い材料には不向き

対流伝熱乾燥は、高温の熱風を使う乾燥方式のため、熱に弱い材料や、変質しやすい成分を含む製品には適していません。

たとえば、タンパク質や樹脂などは加熱によって変形や変色が起こることがあり、品質保持が難しくなります。また、空気(酸素)を熱媒体として使用するため、酸化しやすい原料では変色や劣化のリスクもあります。

このような場合には、真空乾燥や伝導伝熱乾燥など、低温でも安定した乾燥ができる方式を組み合わせて検討するのが望ましいでしょう。

乾燥条件を誤ると製品品質に影響が出る

対流伝熱乾燥は、熱風の温度や流量によって乾燥速度が大きく変化します。温度を上げすぎると、表面だけが急速に乾き、内部に水分が残ることがあります。一方で温度が低すぎると、処理時間が長くなり、エネルギー効率が低下します。

このように、設定条件が製品品質に直結するため、プロセス管理や自動制御の精度が求められます。

気流のムラによって乾燥ムラが生じることがある

乾燥槽内の熱風の流れが均一でないと、材料の一部に熱が集中したり、逆に風が届かず乾燥が遅れる部分が生じることがあります。

特に、大型装置や多層トレイ構造の乾燥機では、風量バランスや気流設計の工夫が重要です。均一な乾燥を実現するには、風向調整板の配置や送風制御などを、装置設計の段階で適切に計画することが求められます。

まとめ

対流伝熱乾燥は、熱をもった空気やガスを循環させて材料に熱を伝える、汎用性の高い乾燥方式です。乾燥スピードが速く、大量処理にも対応できることから、食品・化学・医薬・樹脂など、幅広い分野の製造現場で広く利用されています。

一方で、熱効率がやや低くエネルギー消費が大きくなりやすい点や、臭気・粉じんの発生といった課題もあります。また、熱風の温度管理や気流のムラにも注意が必要で、条件設定を誤ると製品品質に影響が出ることがあります。

工業用乾燥機を導入する際は、対象となる材料の特性や処理条件に合った乾燥方式を選ぶことが重要です。乾燥機には多くのタイプがあり、製品ごとに特長や適用範囲も異なります。自社のニーズに最適な方式を見極め、コストや品質、運用性のバランスを考慮して検討することが大切です。

当サイトでは、代表的な5つの乾燥方式を比較した「タイプ別比較表」をご用意しています。原料の凝集性や洗浄性、粒子破損のリスクなど、複数の観点から比較できる内容になっていますので、ぜひご活用ください。

工業用乾燥機の導入前に!
乾燥タイプ別の性能比較

⼯業⽤乾燥機のタイプ別⽐較表

半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。

オンマウスで各項⽬の解説が表⽰されます
振動乾燥機

振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。

攪拌乾燥機

攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。

真空回転乾燥機
(コニカルドライヤー)

真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。

箱型棚式
乾燥機

箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。

流動層乾燥機

流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。

材料適⽤
範囲

様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。

適⽤量

一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。

粒⼦破損

材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。

加熱温度

関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。

コンタミ
発⽣
リスク

乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。

洗浄時間

乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。

消耗
部品

攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。

特⻑ 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている 大量の原料の乾燥に適している
代表的な
製品(※)
中央化工機
VU型振動乾燥機
中央化工機振動乾燥機

引用元:中央化工機HP
(https://www.chuokakohki.co.jp/dryer.html)

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ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機
イメージ

ヤスジマHP
(https://yasujima.co.jp/product/dryer/yvdn/)

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徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型
イメージ

徳寿工作所HP
(https://www.tokujuk.co.jp/products/dryer/WDV/post-11.html)

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長門電機工作所
箱型棚式乾燥機
長門電機工作所箱型棚式乾燥機

引用元:長門電機工作所HP
(https://nagato.co.jp/ventilation-tray-dryer/)

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栗本鐵工所
流動層乾燥装置
栗本鐵工所流動層乾燥装置

引用元:栗本鐵工所HP
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/floormap/floor-03.html)

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※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。