無機物は無機化合物とも呼ばれ、有機化合物以外の化合物のことをいいます。
有機化合物の定義として「炭素を含む化合物のうち、一酸化炭素や二酸化炭素のように簡単な構造の化合物を除いたもの」とされており、これ以外のものが無機物として取り扱われます。
定義が非常にざっくりとしており、さまざまな物質や原料・鉱石などが該当します。
乾燥機を用いる無機物の原料は多岐にわたります。身近なものでいうと、ガラスや鉄・アルミなどの金属類や、食塩として使われている塩化ナトリウムなどです。
乾燥機を選ぶ際には、その原料を取り扱える温度化での乾燥が行えるかどうかや、乾燥ムラを防止できるかなど、望み通りの仕上がりを実現できるかを念頭に検討を進めましょう。
温度帯や乾燥時間などにより、原料に不必要な変化を与えてしまうと、目的の用途に使えなくなってしまう恐れもあるため注意が必要です。
ガラスは溶融状態にある液体を冷却した際に、一定の凝固点を示すことなく凝固するような性質を持っています。
ガラスの主な原料は石灰石・ケイ砂・ソーダ灰などがあり、透明で壊れやすい・水に溶けない・形が変わらないなどの特徴があります。基本的に熱に強いという特徴がありますが、急激な温度変化には弱いため、乾燥機選びの際にはその点にも留意が必要です。
鉄は身近な原料のひとつで、生産量が多く安価に入手ができる・強度が強く加工性に優れているといった特徴をもった物質です。
炭素の含有量や熱処理によって強度を変化させることができ、身の回りのさまざまなモノや機械、ステンレスなどの合金としても多く利用されています。
一方で錆びやすいといったデメリットもある素材なので、その点にも注意を払った乾燥機選びが必要です。
アルミニウムは、身近なモノに多く使われている材料で、1円硬貨などに使われている物質です。
軽い・強い・錆びにくい・加工がしやすい・再生しやすい・毒性がないなど、豊富な特徴を持っており、熱伝導率も鉄の3倍といわれている原料です。融点が低い原料のため、乾燥させる際には適切な温度管理が必要です。
塩化ナトリウムは、食塩として広く親しまれている物質です。人を含めたほ乳類をはじめとする、地球上の大半の生物にとって必須ミネラルであり、ナトリウム源として生命の維持に必要な物質です。
非常にニーズの高い原料で、食品にも多く使われることがあるため、目的・用途に応じた乾燥状態が得られるかを重視して乾燥機を選びましょう。
無機物はほとんどの乾燥機で対応が可能です。その形状や加工する量によって、乾燥機を選べば基本的には問題ありません。
ただし、摩擦を起こすことでコンタミが発生しやすい物質も多くあるため、可能な限りシンプルな構造となっている乾燥機を選ぶのが無難だと考えられます。振動乾燥機や真空乾燥機、箱型乾燥機などがその選択肢となります。
振動乾燥機の特徴について見る
箱型棚式乾燥機の特徴について見る
真空回転乾燥機(コニカルドライヤー)の特徴の特徴について見る
半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。
振動乾燥機
振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。 |
攪拌乾燥機
攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。 |
真空回転乾燥機 (コニカルドライヤー) 真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。 |
箱型棚式 乾燥機 箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。 |
流動層乾燥機
流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。 |
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材料適⽤ 範囲 様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。また、外に空気が漏れないため、人体に有害なものやナノ粒子状なども対応可能です。 |
広い 幅広く対応 本体部分は閉じられた状態になるため、様々な材料に対応。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料は苦手 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料不可 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。また、水分を多量に含んだものも苦手とする。 |
適⽤量
一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩
材料を水平に並べる構造上、大量の材料を乾燥させる際には広いスペースが必要となる。 |
大
大量の材料の乾燥に適用したタイプの乾燥機。 |
粒⼦破損
材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。 |
少ない
振動による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
少ない
回転による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
少ない
攪拌を行わないため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
加熱温度
関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
低温域 (160度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
コンタミ 発⽣ リスク 乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
洗浄時間
乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
消耗 部品 攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
特⻑ | 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない | 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い | 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている | 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている | 大量の原料の乾燥に適している |
代表的な 製品(※) |
中央化工機
VU型振動乾燥機 |
ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機 |
徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型 |
長門電機工作所
箱型棚式乾燥機 |
栗本鐵工所
流動層乾燥装置 |
※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。