大野化学機械では、撹拌機構を備えた乾燥機として「パドル式乾燥機」と「ディスクドライヤ」の2機種を提供しています。どちらも原料を撹拌しながら効率よく加熱・乾燥する方式で、さまざまな業種・業界で使用されています。ここでは、それぞれの機種の特徴を紹介します。

引用元:大野化学機械公式HP
(https://www.ocm-inc.jp/15451974513844)
パドル式乾燥機は、粘性や付着性のある原料の乾燥に向いている撹拌乾燥機です。内部のパドルで原料を混ぜながら加熱する構造となっており、素材の解砕や攪拌を同時に行いながら乾燥させることができます。
温度条件は100℃以下の低温から700~800℃の高温まで幅広く対応しており、高温・高湿環境でも使用できる仕様です。
乾燥条件は自動制御が可能で、バッチ・連続運転のどちらにも対応。高温乾燥に比べて製品ダメージを抑えやすく、省エネルギー性の高さも特徴です。化学、食品、薬品、環境、製紙、飼料、リサイクル、排水処理など、さまざまな分野で活用されています。

引用元:大野化学機械公式HP
(https://www.ocm-inc.jp/service1)
ディスクドライヤは、原料をかき混ぜながら連続的に乾燥させる撹拌乾燥機です。固定された槽の中にある主軸には、薄い円形の熱板(ディスク)が取り付けられており、これが回転することで原料を効率よく撹拌・乾燥します。
このディスクや軸、さらに本体ジャケットからの熱を使って原料を間接的に加熱できるため、効率的な乾燥が可能です。
同じ熱量を使う他の乾燥機と比べて、本体がコンパクトなのも魅力のひとつ。設置スペースを抑えられるだけでなく、初期コストの軽減にもつながります。内部構造がシンプルなので故障が少なく、保守やメンテナンスもしやすいでしょう。
また、排気量が少ないため、排ガス処理や脱臭などの対策も取りやすく、化学・食品・環境関連など、さまざまな分野で採用されています。さらに、オプションとしてフッ素コーティングやスクリュー羽根への変更も可能です。
大野化学機械は、化学や食品、環境分野をはじめ、さまざまな業界向けに乾燥機や混合機などの設備を提供しているメーカーです。創業以来、幅広い業種で培ってきた経験と活かし、ユーザーの要望に応じた装置の開発・製作を行ってきました。
大野化学機械の大きな特徴のひとつは、設計から製作・据付・試運転までを一貫して自社で対応する体制を整えている点です。この「OCM体制」により、コストや納期の面でも柔軟な対応が可能で、スムーズな導入につながっています。
また、導入前に各種テスト機によるシミュレーションを実施できるサービスも提供しています。実際の使用条件に近い形で課題の洗い出しができるため、現場の運用に適した装置選定が行いやすくなっています。
乾燥機だけでなく、混合機やフィッシュミール製造装置なども手がけており、原料受け入れから製品化までの工程を一括して提案できる点も強みのひとつ。コンパクトで使いやすく、故障が少ない装置づくりを重視しているメーカーです。
半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。
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振動乾燥機
振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。 |
攪拌乾燥機
攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。 |
真空回転乾燥機 (コニカルドライヤー) 真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。 |
箱型棚式 乾燥機 箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。 |
流動層乾燥機
流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。 |
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材料適⽤ 範囲 様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。また、外に空気が漏れないため、人体に有害なものやナノ粒子状なども対応可能です。 |
広い 幅広く対応 本体部分は閉じられた状態になるため、様々な材料に対応。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料は苦手 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料不可 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。また、水分を多量に含んだものも苦手とする。 |
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適⽤量
一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩
材料を水平に並べる構造上、大量の材料を乾燥させる際には広いスペースが必要となる。 |
大
大量の材料の乾燥に適用したタイプの乾燥機。 |
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粒⼦破損
材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。 |
少ない
振動による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
少ない
回転による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
少ない
攪拌を行わないため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
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加熱温度
関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
低温域 (160度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
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コンタミ 発⽣ リスク 乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
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洗浄時間
乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
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消耗 部品 攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
| 特⻑ | 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない | 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い | 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている | 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている | 大量の原料の乾燥に適している |
| 代表的な 製品(※) |
中央化工機
VU型振動乾燥機 ![]() 引用元:中央化工機HP |
ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機 ![]() ヤスジマHP |
徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型 ![]() 徳寿工作所HP |
長門電機工作所
箱型棚式乾燥機 ![]() 引用元:長門電機工作所HP |
栗本鐵工所
流動層乾燥装置 ![]() 引用元:栗本鐵工所HP |
※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。