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乾燥工程の局所排気

乾燥作業に局所排気装置は必要?

局所排気装置とは

局所排気装置とは、特定の場所の空気や大気中に浮遊する有害物質を排気ファンで吸い込み、ダクトを通して工場外などへ排出する排気装置です。作業場全体の空気を吸い込むのでなく、任意の場所だけをカバーするため作業場内に有害物質や汚染された空気などが広がるリスクがありません。

局所排気装置が必要になる理由

特定のワークを乾燥させる工程においては、人体に有毒なガスなどが発生したり、粉塵などの有害物質が拡散したりといったリスクが考えられます。そのため、労働者にとって安全な作業環境や健全な労働環境を整備するには、作業場の換気を適切に行う設備として局所排気装置のような換気装置・排気設備を導入しなければなりません。

なお、これらの対策は労働安全衛生法などの法律でも義務づけられており、使用者として厳正に対応することが必要です。

法令における設備基準

労働安全衛生法などの法令では作業所へどのような排気装置や換気設備を導入すべきか、その能力や種類などについて細かく定めており、製造作業において取り扱っている物質や薬品などに応じて正しく設備を構成しなければなりません。

法令における局所排気装置と取り扱い薬品の関係として、例えば以下のようなものがあります。

局所排気装置内で有機溶剤第1,2,3種を使用する場合

労働安全衛生法の第5条において、事業者は第一種有機溶剤や第二種有機溶剤などを取り扱う作業に労働者を従事させる場合、作業所に局所排気装置またはプッシュプル型換気装置を設けなければなりません。

そして局所排気装置を導入する場合、有機溶剤中毒予防規則に則って以下のような条件に合致する局所排気装置を導入することが必要です。

引用元:厚生労働省|労働省令第三十六号 有機溶剤中毒予防規則
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74090000&dataType=0&pageNo=1)

局所排気装置内で特定化学物質第1,2類を使用する場合

特定化学物質とは、作業に従事する労働者に対して癌や皮膚炎、神経障害といった健康被害をもたらすリスクのある化学物質を指し、これらを取り扱う作業へ労働者を従事させる場合、事業者は特定化学物質等障害予防規則の定めに従って局所排気装置などの排気装置を設置する必要があります。

局所排気装置に求められる基準は以下のようになります。

引用元:厚生労働省|労働省令第三十九号 特定化学物質障害予防規則
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74097000&dataType=0&pageNo=1)

乾燥工程における局所排気装置の設置事例

熱処理・乾燥工程

めっき加工における熱処理工程で乾燥炉から煙が漏れ、工場内の空気を汚染して作業環境を悪化させていた際に、局所排気装置を導入することで状況を改善させた事例です。

当初は乾燥炉の中央部に排煙ファンを搭載していましたが、既設ファンでは吸い込み能力が不足し乾燥炉から煙が漏れていました。そこで特別に設計したフードを設置して排煙装置を刷新したところ、作業環境が改善されたそうです。

引用元:株式会社エステーリンク 集塵機.jp|熱処理工程における乾燥炉の局所排気装置
(https://www.shujinki.jp/archives/1647)

薬品浸漬後の乾燥工程

メタノールやトルエンにワークを浸した後の乾燥工程に関して、既設の換気装置では性能が不足していると労働基準監督署から通知が届いたため、プッシュプル型換気装置を導入して、有機溶剤を使用する環境に適合した換気設備を導入した事例です。

結果として有機溶剤の補足吸引が効率化して、作業内へ有害物質が拡散して場内を汚染するリスクを解消し、作業環境濃度についても改善できました。

引用元:TERAL|薬品浸漬後の乾燥工程における局所排気対策
(https://www.teral.net/solution_case/solution_case-5480/)

局所排気装置の点検方法

作業条件に合わせて適切な性能を備えた局所排気装置などを導入することは、事業者にとって守るべき法的義務です。そのため、事業者は単に条件へ適合した局所排気装置を導入するだけでなく、定期的なメンテナンスや点検を実施して、常にその装置が必要な能力を有している状態を保たなければなりません。

点検頻度

労働基準監督署へ届け出ている局所排気装置について、少なくとも1年以内ごとに1回、定期的な自主点検を実施することが義務づけられています。

点検事項

点検すべき項目は装置各部の劣化や損傷、摩耗、腐食の有無といった外観的に確認できるものから、塵埃の体積状態や注油状態、連結部の緩みやベルトの作動状態など細かく定められており、また必要に応じて熱線式風速計などの機器も使いながら吸排気能力もチェックしましょう。

⼯業⽤乾燥機のタイプ別⽐較表

半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。

オンマウスで各項⽬の解説が表⽰されます
振動乾燥機

振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。

攪拌乾燥機

攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。

真空回転乾燥機
(コニカルドライヤー)

真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。

箱型棚式
乾燥機

箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。

流動層乾燥機

流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。

材料適⽤
範囲

様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。

適⽤量

一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。

粒⼦破損

材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。

加熱温度

関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。

コンタミ
発⽣
リスク

乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。

洗浄時間

乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。

消耗
部品

攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。

特⻑ 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている 大量の原料の乾燥に適している
代表的な
製品(※)
中央化工機
VU型振動乾燥機
中央化工機振動乾燥機

引用元:中央化工機HP
(https://www.chuokakohki.co.jp/dryer.html)

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ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機
イメージ

ヤスジマHP
(https://yasujima.co.jp/product/dryer/yvdn/)

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徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型
イメージ

徳寿工作所HP
(https://www.tokujuk.co.jp/products/dryer/WDV/post-11.html)

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長門電機工作所
箱型棚式乾燥機
長門電機工作所箱型棚式乾燥機

引用元:長門電機工作所HP
(https://nagato.co.jp/ventilation-tray-dryer/)

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栗本鐵工所
流動層乾燥装置
栗本鐵工所流動層乾燥装置

引用元:栗本鐵工所HP
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/floormap/floor-03.html)

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※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。