シート状素材とは、繊維や不織布など、平らになった素材のこと。印刷や製紙分野における紙もシート状素材に分類されます。シートを効率よく乾燥するには、シートの幅に均一な温度や風を送る事が大切です。
湿ったシート状素材を乾燥させるには、まずは吸湿が重要です。昔は、吸湿性のある段ボールなどの材料をシートの上下面から挟み、気流で起こすといった方法で乾燥させていました。次に、ワークにいかに均一で効率よく熱を伝達できるかが重要になります。
現在では技術が進み、シート状素材に熱風を吹き付ける方法や高周波やマイクロ波といった電磁波を当てて加熱し、その熱で乾燥させる方法があります。他にも、シート状素材を乾燥するには以下のような方法があります。
フィルムやシートと言っても実際には極薄の透明フィルムから、工事現場で用いられる防炎シートのような薬品を塗布された厚いものまで、その種類は様々です。
フィルムやシートの乾燥工程は、溶かした原料などをシート状に形成して乾燥させたり、それぞれシートの表面に任意の物質を塗布して乾燥させたりといった場合に行われます。ただしフィルムの素材や厚みによって乾燥方法や温度条件などが異なる上、水分や薬品の種類によっては乾燥条件が一層に厳しくなることもあります。
加えて精密部品を乾燥させる場合、不純物が混入しないようクリーン環境に適合していなければなりません。
シート状食品としては、ラザニアで使用されるようなシート状の乾燥パスタや海苔といった日常的に食されるものから、オブラートのように医薬品として製造されるものまで、様々な種類が考えられます。
食品の乾燥は温度や乾燥速度といった条件だけでなく、食品衛生法の基準に従って安心安全な環境に適合している乾燥機が必要です。また、特に医薬品のような製品を乾燥させる場合、クリーンルームでの作業が必要になるなど乾燥機にも相応の衛生レベルが求められることは少なくありません。
熱による乾燥や風を当てる乾燥、あるいはフリーズドライ製法など、乾燥方法も重要です。
不織布の原料としては天然繊維や合成繊維だけでなく、ガラスや金属、セラミックスなど繊維状に加工できるものであれば大部分の素材が選ばれます。また不織布の製法としても乾燥状態で短繊維を結合させる乾式法や、紙すきのように水中で分散させた短繊維を形成・脱水する湿式法、さらにはスパンボンド法やメルトブローン法など様々なものがあり、それぞれで繊維やシート状に形成された不織布の乾燥工程が必要になります。
そのため不織布に適した乾燥機を選ぶ場合、製造法なども踏まえて適性を考えましょう。
紙製品の乾燥工程を考える場合、水中に分散させたパルプ原料をシート状に形成して、紙素材として製造するパターンと、紙素材に塗装や表面加工を施して製品として完成させるパターンと、大きく2種類が考えられます。
紙素材の製造工程に関しては、紙の製造方法の特性上、適切な乾燥工程を経なければ鳴りません。また紙に顔料や染料を塗布したり、難燃素材などの薬品を塗布したりする場合、仕上がりや素材特性に影響を及ぼさない方法で乾燥工程をプランニングすることも必要です。
紙製品は厚みや強度、用途も多種多様であるため、乾燥機選びでも最初にニーズや用途を明確化することが大切です。
紙の平面性を維持しながら、短い時間で乾燥するために、製紙や印刷の分野で古くから使われてきた方法です。段ボールに挟んだ紙に送風機などで気流を当て、軽い圧力をかけながら乾燥させます。
温風や熱風など外部の熱源を利用するのではなく、シート素材自身が発熱し、その力によって乾燥させる方法です。これを誘電加熱といい、高周波の力が使われています。
高周波による乾燥と同じ原理で、シート自身を加熱させて乾燥させる方法です。工業用のシート素材のほか、シート状の食品の乾燥や樹脂繊維の乾燥にも使われています。従来の熱風による乾燥よりも短い時間で乾燥できるメリットがあります。
スポンジなど吸水性の高い素材でできたローラーでシートを挟みながら送り、吸い取りながら乾かす方法です。簡単な構造で操作しやすい一方で、スポンジが汚れるとシートも汚れてしまう欠点があります。
半導体や各種薬品、食品など、自社商品の研究開発を目的とした工業用乾燥機には、様々なタイプが存在します。
ここでは代表的な5タイプについて、簡易的な比較表にまとめています。自社にはどのタイプが最適なのか、検討をしてみてください。
振動乾燥機
振動乾燥機はドラム型は缶体内に原料を投入し振動を行い、原料の流動化・乾燥を行う乾燥装置です。 |
攪拌乾燥機
攪拌式の乾燥機は、本体内部にあるパドルや羽根により原料を攪拌し、乾燥を行うタイプの乾燥機です。 |
真空回転乾燥機 (コニカルドライヤー) 真空回転乾燥機は、本体部分を密閉して減圧を行い、真空状態を作り出して原料を乾燥する構造の乾燥装置です。 |
箱型棚式 乾燥機 箱型棚式乾燥機はトレイに乾燥物を配置し、乾燥を行う構造の乾燥装置です。 |
流動層乾燥機
流動層乾燥機にはさまざまな形状があり、回転運動や振動、熱風などを利用し乾燥を行います。 |
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材料適⽤ 範囲 様々な種類・状態の材料に対応をしてるか。凝集性・付着性のある材料、水分量の多い材料、を苦手とする乾燥機も。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。また、外に空気が漏れないため、人体に有害なものやナノ粒子状なども対応可能です。 |
広い 幅広く対応 本体部分は閉じられた状態になるため、様々な材料に対応。 |
広い 幅広く対応 本体部分は真空状態になるため、様々な材料に対応。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料は苦手 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。 |
狭い 凝集性・付着性のある材料不可 攪拌が行われないため、凝集性・付着性のある材料に適用しない。また、水分を多量に含んだものも苦手とする。 |
適⽤量
一度に乾燥を行う材料の適用量はどうか。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩〜⼤
様々なサイズの乾燥機をメーカーが用意している。 |
⼩
材料を水平に並べる構造上、大量の材料を乾燥させる際には広いスペースが必要となる。 |
大
大量の材料の乾燥に適用したタイプの乾燥機。 |
粒⼦破損
材料の粒子を破壊せずに乾燥ができるか。物理的な摩擦が少ないものが好ましい。 |
少ない
振動による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
少ない
回転による攪拌のため、機器による摩擦を発生させない。 |
少ない
攪拌を行わないため、機器による摩擦を発生させない。 |
有り
攪拌の際に機器による摩擦が発生しやすい。 |
加熱温度
関節加熱の温度が高いほど乾燥速度は早まるが、内部構造が複雑な機器の場合、熱膨張の影響を受けやすいため、制限がかかる。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
中温域 (190度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
高温域 (250度以下) 内部構造がシンプルなため、高温での過熱が可能。 |
低温域 (160度以下) 内部構造が複雑なため、200度以上を出すのが難しい。 |
コンタミ 発⽣ リスク 乾燥機の内部での摩擦により、コンタミが発生するリスクがあるか。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
低い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こりにくく、コンタミが発生するリスクは低い。 |
高い
乾燥機での攪拌による摩擦が起こるため、コンタミが発生するリスクが高い。 |
洗浄時間
乾燥を行うごとに洗浄が必要な工業用乾燥機。内部構造が複雑な場合、解体が必要となるため、洗浄時間が長くなる。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
短い
内部構造がシンプルなため、洗浄時間が短い。 |
長い
内部構造が複雑なため、洗浄時間が長い。 |
消耗 部品 攪拌に羽を使用している、摩擦を起こすための部品が多い乾燥機の場合、消耗品の交換が必要となる。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
少ない
消耗品はほとんどない。 |
多い
消耗品が多く、定期的な交換が必要。 |
特⻑ | 上記項⽬に幅広く対応した上で、粒⼦がダマにならない | 最も⼀般的な形式のため使い慣れている研究者が多い | 高真空下で低温乾燥が可能なため、熱に弱い原料に向いている | 食品乾燥など攪拌が必要のないものに 向いている | 大量の原料の乾燥に適している |
代表的な 製品(※) |
中央化工機
VU型振動乾燥機 ![]() 引用元:中央化工機HP |
ヤスジマ
YVD真空撹拌乾燥機 ![]() ヤスジマHP |
徳寿工作所
真空回転乾燥機 WDV型 ![]() 徳寿工作所HP |
長門電機工作所
箱型棚式乾燥機 ![]() 引用元:長門電機工作所HP |
栗本鐵工所
流動層乾燥装置 ![]() 引用元:栗本鐵工所HP |
※タイプ別の代表的な製品の選出基準
「振動乾燥機」「攪拌乾燥機」「真空回転乾燥機」「箱型棚式乾燥機」「流動層乾燥機」⇒2022年3月23日時点で各タイプ名をGoogle検索した際、最上位に表示されるメーカーの商品。